肥料の輸入について
肥料の輸入に関わる主な法令
肥料を輸入する際に注意しなければならないのは、農薬の輸入と同様に、「化学品」に分類される可能性もあるという点です。
その場合、以下の法令以外にも、外為法及び輸入貿易管理令に係る輸入申請が必要になることもあります。
一般的には、肥料の輸入に関わる法令は以下のものになります。
上記の毒物及び劇物取締法では、あくまで輸入を考えている肥料が毒物や劇物に該当する場合のみ、登録申請が必要となります。
肥料取締法における肥料の分類
肥料取締法により、肥料は以下のように分類されます。
魚かすや米ぬかのように、農家の方が見れば品質の識別ができる単純な肥料や、たい肥のように主成分量の多少のみで一律的な評価を行えない肥料を指します。
なお、たい肥及び動物の排泄物については特定の項目につき品質表示が義務付けられています。
2.普通肥料
特殊肥料以外をいい、原則として公定規格が定められています。3.指定配合肥料
普通肥料のうち、登録されている肥料のみを決まりに従い単に配合しただけの肥料です。
4.特定普通肥料
普通肥料のうち、施用方法によっては人畜に被害を生ずるおそれのある農作物が生産されるものを指します。
5.公定規格の定められていない普通肥料
こちらは原則として、生産、輸入、販売のいずれもできず、特例として仮登録により生産や輸入が認められるものです。
肥料の輸入手続き
肥料を輸入するためには、上記で分類した肥料の種類ごとに異なる手続きが必要です。
なお、個人の使用に限る場合(販売目的でない、自らの使用のための個人輸入等)については、肥料取締法の規制はなく、登録や届出の必要はありません。
事業開始の2週間前までに、輸入地の都道府県知事に届出。
2.普通肥料(指定配合肥料を除く)
農林水産大臣の登録を受けた後、事業開始の2週間前までに農林水産大臣に届出。
3.指定配合肥料
事業開始の2週間前までに、輸入地の都道府県知事に届出。
4.特定普通肥料
農林水産大臣の登録を受けた後、事業開始の2週間前までに農林水産大臣に届出。
5.公定規格の定められていない普通肥料
原則として、生産、輸入、販売のいずれも出来ません。
公定規格の定められていない普通肥料の仮登録
但し、自らの栽培試験の結果、現在設定されている公定規格に類似する肥料の効果が認められた場合、仮登録をすることが出来ます。
仮登録をすることができる目安は以下の通りです。
- 当該肥料中に肥料取締法施行令第1条の2に記載される主成分が含まれているが、公定規格ではその主成分が定められていない場合
- 類似の公定規格はあるが、原料や生産方法が違う場合
- 効果が公定規格で定められた類似肥料と同等かそれ以上の場合
なお、異物が混入された肥料(事故肥料等)や、含有主成分が肥料取締法施行令や農林水産省告示で定められていない場合は、仮登録できません。
毒物及び劇物取締法に係る輸入規制
肥料の中には、毒物や劇物に分類されるものもあります。
そのような肥料の場合、厚生労働大臣(都道府県知事経由)に「毒物劇物製造業(輸入業)登録申請書」及び添付書類を提出し、登録を受ける必要があります。
また、輸入後には全ての品目に関して取扱品目ごとの登録や、取扱責任者の設置義務、紛失等の防止義務や貯蔵義務など、様々な遵守義務が課されることになります。
特に毒性の強い「特定毒物」には、使用者や用途の制限等も定められています。